蓄光性蛍光板 、光反射性滑り止め微粒子骨材を蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層の上に散在状に固着することにより、
入射光は光反射性滑り止め微粒子骨材の間を通って、蓄光性蛍光材が含まれている無鉛ガラス層に進入し、特定の波長の光が
蓄光性蛍光材を励起するために該蓄光性蛍光材に吸収され、その際に吸収されなかった光は基板の表面に形成された光反射面と
光反射性微粒子骨材との間で反射される途中で蓄光性蛍光材に吸収されることとなるので蓄光率が高められ、高効率の蛍光(発光)を得ることができる。
蓄光性蛍光板 、光反射性滑り止め微粒子骨材を蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層の上に散在状に固着することにより、
入射光は光反射性滑り止め微粒子骨材の間を通って、蓄光性蛍光材が含まれている無鉛ガラス層に進入し、特定の波長の光が
蓄光性蛍光材を励起するために該蓄光性蛍光材に吸収され、その際に吸収されなかった光は基板の表面に形成された光反射面と
光反射性微粒子骨材との間で反射される途中で蓄光性蛍光材に吸収されることとなるので蓄光率が高められ、高効率の蛍光(発光)を得ることができる。
【課題】 蛍光板と滑り止め骨材とを組み合わせつつも、蛍光材の蛍光を有効に発揮し得る蓄光性蛍光板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 基板2と、基板2上に形成された光反射面2aと、光反射面2a上に積層され蓄光性蛍光材を分散混入させた蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3と、無鉛ガラス層3表面に散在状に固着された光反射性滑り止め微粒子骨材4と、を備えることとした。
A-82-03
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄光性蛍光板及びその製造方法に係り、特に床材に適した蓄光性蛍光板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、滑り止め床材としては、例えば、ガラス基材の表面上に耐摩耗性を有する高硬度粒子を融着してなるガラス板(特許文献1)が知られており、蛍光製品としては、例えば、本体の上面に蛍光釉薬が塗布された蛍光製品(特許文献2)が知られている。
【特許文献1】特開2002-265235号公報
【特許文献2】特開2002-72936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の蛍光製品は、一般に蛍光材料とガラスフリットを含む釉薬をガラスやファインセラミックス等の基板上に塗工し、融着させることにより得ている。
【0004】
一方、上記従来の滑り止め床材において、一般に使用される骨材は不透明なものが多く、そのような骨材は、蓄光性蛍光材に必要な光の入射及び蓄光蛍光材の蛍光を遮る。また、骨材による滑り止め効果を高めるために、一般に密集して配置されがちである。例えば、骨材として白いアルミナ粒子や黒又は褐色の炭化珪素、透明でない石榴石(透明なものは高価)、或いは、白ないし褐色の珪砂が使用され、これらの骨材を滑り止めとして密集して配置させると、骨材の下層に蛍光材を含む層を配置した場合は、骨材によって光が吸収又は反射されるし、或いは、骨材により所定のパターンが形成されてしまう。骨材が透光性である場合には前記のような問題は生じないが、発光効率を更に高めたいという要望があった。
【0005】
そこで、本発明は、蛍光板と滑り止め骨材とを組み合わせつつも、蛍光材の蛍光を有効に発揮し得る蓄光性蛍光板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る蓄光性蛍光板は、基板と、該基板上に形成された光反射面と、該光反射面上に積層され蓄光性蛍光材を分散混入させた蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層と、該無鉛ガラス層表面に固着された透光性滑り止め微粒子骨材及び該無鉛ガラス層表面に散在状に固着された光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも何れかと、を有することを特徴とする。ここで、「散在状」とは、隙間無く詰まっていないことを意味する。
【0007】
また、上記目的を達成するため、基板と、該基板上に形成された光反射面と、該光反射面上に積層され蓄光性蛍光材を分散混入させた蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層と、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層上に積層され透光性を有する無鉛ガラス保護層と、該無鉛ガラス保護層表面に固着された透光性滑り止め微粒子骨材及び前記無鉛ガラス保護層表面に散在状に固着された光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも何れかと、を有することを特徴とする。
【0008】
前記光反射面は、前記基板の表面に積層された光反射層によって形成することが好ましく、さらに、該光反射層を、白色系又は淡色系の釉薬により形成することが好ましい。
【0009】
また、前記基板を白色系又は淡色系の基材とし、前記光反射面を該基板の表面によって形成しても良いし、或いは、前記基板を磁器製としても良い。
【0010】
前記光反射性滑り止め微粒子骨材は、平均粒径が約0.1~約1.5mmであり、散在密度が5~120g/m2であることが好ましい。
【0011】
さらに、上記目的を達成するため、本発明に係る蓄光性蛍光板の第1の製造方法は、光反射面を有する基板の該光反射面上に、無鉛ガラスフリット及び蓄光性蛍光材を分散させたスラリー又はペーストを塗布し蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を形成する工程と、該蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を乾燥させる工程と、乾燥した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層の表面に、透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方を、前記蓄構成蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を遮光しないように散布する工程と、前記透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方を散布した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を焼成して蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る蓄光性蛍光板の第2の製造方法は、光反射面を有する基板の該光反射面上に、無鉛ガラスフリット及び蓄光性蛍光材を分散させたスラリー又はペーストを塗布し蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を形成する工程と、該蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を乾燥させる工程と、乾燥した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層上に、無鉛ガラスフリットを分散させたスラリー又はペーストを塗布し、乾燥させて透光性の無鉛ガラス保護層形成層を形成する工程と、乾燥した無鉛ガラス保護層形成層の表面に、透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方を、前記蓄構成蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を遮光しないように散布する工程と、前記前記透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方を散布した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層及び前記無鉛ガラス保護層形成層を焼成する工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、上記目的を達成するため、本発明に係る蓄光性蛍光板の第3の製造方法は、光反射面を有する基板の該光反射面上に、無鉛ガラスフリット及び蓄光性蛍光材を分散させたスラリー又はペーストを塗布し蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を形成する工程と、該蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を乾燥させる工程と、乾燥した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層上に、透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方と無鉛ガラスフリットとを分散させたスラリー又はペーストを、該スラリー又はペーストを焼成した後の表面に前記滑り止め微粒子骨材による凸部が形成される程度の膜厚となるように塗布し、滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス保護層形成層を形成する工程と、前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層及び前記滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス保護層形成層を焼成し、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層上に滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス保護層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記第1~第3の製造方法において、第4の製造方法として、前記スラリー又はペーストを塗布する基板は、焼成前の成形体であって、前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層又は前記滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス層形成層の焼成時に同時に焼成され、焼結されることが好ましい。
【0015】
前記第1~第4の製造方法において、前記基板の表面に光反射面を形成するために、該基板の表面に白色系又は淡色系の釉薬層を施釉する工程を更に含むことが好ましい。
【0016】
前記第1~第4の製造方法において、前記光反射面を有する基板は、白色系又は白色系の基材によって形成され、該基材によって光反射面が形成されていることが好ましい。
【0017】
なお、「磁器」とは、素地がよく焼き締ってガラス化し、吸水性のない純白透明性の焼物のことである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る蓄光性蛍光板によれば、透光性の滑り止め骨材を表面に設け、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層の下層に光反射面を形成することにより、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層に入射し蓄光性蛍光材に吸収されずに通過した光を反射させて蓄光性蛍光材に吸収させ、蓄光性蛍光材の発する蛍光が光反射面で反射されて放出されるので、発光効率の向上が図られる。
【0019】
また、本発明に係る蓄光性蛍光板によれば、光反射性滑り止め微粒子骨材を蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層の上に散在状に固着することにより、入射光は光反射性滑り止め微粒子骨材の間を通って、蓄光性蛍光材が含まれている無鉛ガラス層に進入し、特定の波長の光が蓄光性蛍光材を励起するために該蓄光性蛍光材に吸収され、その際に吸収されなかった光は基板の表面に形成された光反射面と光反射性微粒子骨材との間で反射される途中で蓄光性蛍光材に吸収されることとなるので蓄光率が高められ、高効率の蛍光(発光)を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る蓄光性蛍光板及びその製造方法の実施形態について、図1~3を参照して説明する。なお、全図及び全実施形態を通じ、同様の構成部分には同符号を付した。
【0021】
図1は、本発明に係る蓄光性蛍光板の第1実施形態を示す縦断面図である。図1に示すように、蓄光性蛍光板1は、基板2と、基板2上に積層され蓄光性蛍光材を分散混入させた蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3と、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3表面に散在状に固着された光反射性滑り止め微粒子骨材4と、を有する。
【0022】
基板2は、耐久性、耐候性に富み、無鉛ガラス層3が融着し得るものであって、光反射面を有するものが使用される。光反射面は、基板の性質上有しても良く或いは光反射層が別に形成されているものであっても良い。図1に示す例は、基板自体の表面が光反射面2aである実施形態である。そのような基板1としは、例えば、Al2O3、MgO、SiO2を主成分とする磁器製の基板、その他、白系或いは淡色系のセラミックス基板を例示することができる。、これらの基板は、厚みを4~12mmとすることが好ましい。なお、ここで言うセラミックスは、陶磁器類の他、セメント・ガラス・煉瓦などを含む広義の意味である。
【0023】
光反射性滑り止め微粒子骨材としては、平均粒径が約0.1~約1.5mm程度で高硬度の骨材として公知の骨材のうち光反射性を有する骨材を使用することができる。平均粒径は、JIS
R 6002に規定されている測定方法に基づいて測定することができる。光反射性滑り止め微粒子骨材としては、アルミナ(白)、ジルコニア(白)、及び白又は淡色の珪砂、ガラス粒子は、全波長領域において高い光反射性を有するため好ましい。石榴石は、不透明の白色のものを使用することが好ましいが、蓄光性蛍光材の種類に応じて白以外の色のものも使用できる。即ち、蓄光性蛍光材が蓄光のために吸収する色(波長)と同系色の石榴石を使用できる。例えば、蓄光性蛍光材が緑系色を蓄光のために吸収する場合、緑系色の石榴石を使用すれば、その石榴石は緑系色を反射するからである。このことは、光反射性基材についても同様であり、蓄光性蛍光材の吸収する光の色(特定波長領域)と同系色の光反射面とすることができる。
【0024】
上記のような蓄光性蛍光板は、次のようにして製造される。
【0025】
先ず、光反射面を有する基板2を用意し、該光反射面の上面に、無鉛ガラスフリット、蓄光性蛍光材を水及び有機溶媒からなる分散媒中に分散させたスラリー又はペーストに必要に応じて添加剤を加えて、例えば、厚みが0.5~2mmとなるように塗布し、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を形成する。
【0026】
塗布方法としては、例えば、刷毛塗り、スプレー塗布、流し込み、鋳込み充填、スクリーン印刷、紙転写、シルク転写等の転写、その他の塗布方法を採用することができる。
【0027】
スラリー又はペースト中の有機溶媒は、焼成によって分解、焼失するものを使用でき、例えば、一般的なバインダーとして公知のメチルセルロース、エチルセルロース、トルエン、エチルアルコール、オイル、アクリル樹脂等が使用できる。
【0028】
スラリー又はペースト中の重量比は、水及び有機溶媒等からなる分散媒を20~40重量%、蓄光性蛍光材を10~35重量%、そして、無鉛ガラスフリットを35~50重量%とすることができる。
【0029】
セラミックス製の基板2は、一般に熱膨張係数がガラスに比較して小さいため、熱膨張差による貫入と剥がれを防止するために、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3は出来るだけ熱膨張係数を小さくすることが好ましい。そのため、無鉛ガラス層の熱膨張係数は、例えば、50×10-7~75×10-7とすることが好ましい。
【0030】
また、蓄光性蛍光材が高温で酸化分解し、輝度が低下するため、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3は、比較的低い焼成温度(例えば、650~850℃)で溶けるものが好ましい。そのため、ガラスフリットは、融点が500~750℃程度の低融点のものを使用することが好ましい。さらに、蓄光性蛍光材は、酸化しやすく、酸化分解により輝度が低下するため、無鉛ガラス層としては耐酸性を有するものが好ましい。
【0031】
こうして得られた蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を、100~200℃で、約2~6時間放置し、乾燥させる。
【0032】
次に、乾燥した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層の表面に光反射性滑り止め微粒子骨材4を散布する。光反射性滑り止め微粒子骨材4は、上記したように粒径が約0.1~約1.5mmのものを、5~120g/m2の散在密度に散布することが好ましい。散在密度が5g/m2より小さいと、滑り止めとしての効果が小さくなりすぎるからであり、一方、120g/m2を越えると、入射光を反射する割合が大きくなり、かえって蓄光性能を妨げるからである。ここで、散在密度における「密度」は、広義の密度であり、単位面積当たりに分布する割合のことである。蓄光性蛍光材の散在密度は、1m2当たりに散布する蓄光性蛍光材の質量で表される。
【0033】
次に、光反射性滑り止め微粒子骨材4を散布した蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を650~850℃、3~8時間で焼成し、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3を形成する。この焼成途中において、無鉛ガラスフリットが溶融して光反射性滑り止め微粒子骨材4を包み込み、焼成後は光反射性滑り止め微粒子骨材4の表面にガラスの被膜を張ったようにして完全に固着させるが、焼成後において光反射性滑り止め微粒子骨材は、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3の表面に凸部を形成し、滑り止めの働きをする。
【0034】
上記のようにして得られた蓄光性蛍光板1は、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3の表面に光反射性滑り止め微粒子骨材4が散在状に固着されているので、入射光は光反射性滑り止め微粒子骨材4の間を通って、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3に進入し、蓄光性蛍光材に吸収され、その際に吸収されなかった光は基板2表面の光反射面2aと光反射性滑り止め微粒子骨材4との間で反射が繰り返される途中で蓄光性蛍光材に吸収されることとなり、その結果、蓄光率が高められ、高効率の蛍光を得ることができる。
【0035】
次に本発明に係る蓄光性蛍光板の第2実施形態について、以下に図2を参照しつつ説明する。図2は、蓄光性蛍光板の第2実施形態を示す縦断面図である。
【0036】
第2実施形態の蓄光性蛍光板1は、前記基板の表面に光反射層5が積層されている点が主として上記第1実施形態と相違する。
【0037】
光反射層5は、例えば、白色系又は淡色系の釉薬層により形成することができる。白色の釉薬としては、例えば、ジルコニウム、チタン、ナトリウム、スズ等の顔料を含む無鉛ガラスフリットを使用し、低融点(650~850℃)でその上層の蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3と焼成時に溶融一体化するようにすることが好ましい。光反射層5を形成する釉薬層の厚みは、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3と溶け合う適正厚みとして、例えば、0.2~1.0mmとすることができる。
【0038】
なお、光反射層5を形成する釉薬層は、予め基板2上に融着させておいてから、その上に蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3を形成してもよい。或いは、光反射層5を形成する釉薬層を塗工し乾燥させ、その上に蓄光性径光材入り無鉛ガラス層形成層を塗工し乾燥させ、光反射性滑り止め微粒子骨材4を散布した後、焼成することにより融着させても良い。
【0039】
上記のような光反射層5を基板2の表面に形成する場合、基板自体は、光反射性を有さなくてもよい。基板2は、セラミックス基板に限らず、例えば、ステンレス等の鋼板上面に光反射層5を形成する釉薬層を融着させたステンレス琺瑯を採用することもできる。
【0040】
次に、本発明に係る蓄光性蛍光板の第2実施形態について、以下に図3を参照しつつ説明する。図3は、蓄光性蛍光板の第3実施形態を示す縦断面図である。
【0041】
第2実施形態の蓄光性蛍光板1は、光反射面上に積層され蓄光性蛍光材を分散混入させた蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層の上面に、更に蓄光性蛍光材を含まない無鉛ガラスによって形成された無鉛ガラス保護層6が積層され、無鉛ガラス保護層6の表面に光反射性滑り止め微粒子骨材が散在状に固着されている点が上記第1実施形態と相違し、その他の点は、上記第1実施形態と同様である。
【0042】
第2実施形態の蓄光性蛍光板1を製造するにあたっては、光反射性滑り止め微粒子骨材を固着させる方法として、上記第1実施形態と同様に散布する方法の他に、以下に説明する別の方法がある。
【0043】
すなわち、基板2上に塗工した蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3形成層を乾燥させた後に、その上面に無鉛ガラスフリット及び光反射性滑り止め微粒子骨材4を分散させたスラリー又はペーストを、所定の膜厚となるように塗布することにより、光反射性滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス保護層6形成層を形成する。この場合、塗布するスラリー又はペーストの膜厚は、スラリー又はペーストを焼成した後の表面に光反射性滑り止め微粒子骨材4による凸部が滑り止め性状を呈する程度の膜厚となるようにし、例えば、0.2~1.0mmである。塗布方法としては、例えば、刷毛塗り、スプレー塗布、流し込み、鋳込み充填、スクリーン印刷、紙転写、シルク転写等の転写、その他の塗布方法を採用することができる。
【0044】
光反射性滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス保護層6形成層を乾燥させた後、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層3形成層及び光反射性滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス層形成層を焼成し、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層上に光反射性滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス層を溶融一体させ固化させる。
【0045】
上記第1~第3実施形態の蓄光性蛍光板と、骨材を有さない以外は該第1実施形態と同じ構成の蓄光性蛍光板(比較品)と、を製作し、JIS Z 9107に基づいて残光輝度の比較試験をした結果、第1~第3実施形態の蓄光性蛍光板は、何れも比較品に対して輝度の劣化は最大でも5%以下であり、骨材の付加による輝度の劣化は最小限に抑えられていた。
【0046】
また、上記第1~第3実施形態では、予め焼結させてある基板を用いた製法について説明したが、焼成前の成形体としての基板を、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層又は前記光反射性滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス層形成層の焼成時に同時に焼成し、焼結することもできる。
【0047】
さらに、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層の上面又は前記光反射性滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス層形成層の上面には、更に、ピクトグラム、図柄、模様、文字等を釉薬印刷し融着させて、標識等として使用することもできる。
【0048】
上記の実施形態では、滑り止め微粒子骨材として光反射性滑り微粒子骨材を使用した例について説明したが、光透過性滑り止め微粒子骨材を使用することもできる。光透過性滑り止め微粒子骨材を使用する場合は、散在状に設けることもできるが、隙間無く敷き詰めるようにして設けることも可能である。その他の製造方法及び構成は、上記実施形態と同様である。光透過性滑り止め微粒子骨材としては、例えば、透明なガラス粒子、透明な石材粒子、透明な人造石材粒子等を例示することができる。また、光透過性滑り止め微粒子骨材と光反射性微粒子骨材を混合して使用するこもと可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る蓄光性蛍光板の第1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る蓄光性蛍光板の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る蓄光性蛍光板の第3実施形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 蓄光性蛍光板
2 基板
2a 光反射面
3 蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層
4 光反射性滑り止め微粒子骨材
5 光反射層
6 光反射性滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス保護層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に光反射面を備える基板と、
該光反射面上に積層され蓄光性蛍光材を分散混入させた蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層と、
該無鉛ガラス層表面に固着された透光性滑り止め微粒子骨材及び該無鉛ガラス層表面に散在状に固着された光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも何れかと、
を有することを特徴とする蓄光性蛍光板。
【請求項2】
上面に光反射面を備える基板と、
該光反射面上に積層され蓄光性蛍光材を分散混入させた蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層と、
蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層上に積層され透光性を有する無鉛ガラス保護層と、
該無鉛ガラス保護層表面に固着された透光性滑り止め微粒子骨材及び前記無鉛ガラス保護層表面に散在状に固着された光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも何れかと、
を有することを特徴とする請求項1記載の蓄光性蛍光板。
【請求項3】
前記光反射面は、前記基板の表面に積層された光反射層によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄光性蛍光板。
【請求項4】
前記光反射層は、白色系又は淡色系の釉薬により形成されていることを特徴とする請求項3記載の蓄光性蛍光板。
【請求項5】
前記基板が白色系又は淡色系の基材であり、前記光反射面が該基板の表面によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄光性蛍光板。
【請求項6】
前記基板が、磁器製であることを特徴とする請求項5記載の蓄光性蛍光板。
【請求項7】
前記光反射性滑り止め微粒子骨材は、平均粒径が約0.1~約1.5mmであり、散在密度が5~120g/m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄光性蛍光板。
【請求項8】
光反射面を有する基板の該光反射面上に、無鉛ガラスフリット及び蓄光性蛍光材を分散させたスラリー又はペーストを塗布し蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を形成する工程と、
該蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を乾燥させる工程と、
乾燥した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層の表面に、透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方を、前記蓄構成蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を遮光しないように散布する工程と、
前記透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方を散布した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を焼成して蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層を形成する工程と、
を有することを特徴とする蓄光性蛍光板の製造方法。
【請求項9】
光反射面を有する基板の該光反射面上に、無鉛ガラスフリット及び蓄光性蛍光材を分散させたスラリー又はペーストを塗布し蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を形成する工程と、
該蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を乾燥させる工程と、
乾燥した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層上に、無鉛ガラスフリットを分散させたスラリー又はペーストを塗布し、乾燥させて透光性の無鉛ガラス保護層形成層を形成する工程と、
乾燥した無鉛ガラス保護層形成層の表面に、透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方を、前記蓄構成蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を遮光しないように散布する工程と、
前記前記透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方を散布した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層及び前記無鉛ガラス保護層形成層を焼成する工程と、
を有することを特徴とする蓄光性蛍光板の製造方法。
【請求項10】
光反射面を有する基板の該光反射面上に、無鉛ガラスフリット及び蓄光性蛍光材を分散させたスラリー又はペーストを塗布し蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を形成する工程と、
該蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層を乾燥させる工程と、
乾燥した前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層上に、透光性滑り止め微粒子骨材及び光反射性滑り止め微粒子骨材の少なくとも一方と無鉛ガラスフリットとを分散させたスラリー又はペーストを、該スラリー又はペーストを焼成した後の表面に前記滑り止め微粒子骨材による凸部が形成される程度の膜厚となるように塗布し、滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス保護層形成層を形成する工程と、
前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層及び前記滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス保護層形成層を焼成し、蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層上に滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス保護層を形成する工程と、
を有することを特徴とする蓄光性蛍光板の製造方法。
【請求項11】
前記スラリー又はペーストを塗布する基板は、焼成前の成形体であって、前記蓄光性蛍光材入り無鉛ガラス層形成層又は前記滑り止め微粒子骨材入り無鉛ガラス層形成層の焼成時に同時に焼成され、焼結されることを特徴とする請求項8~10の何れかに記載の蓄光性蛍光板の製造方法。
【請求項12】
前記基板の表面に光反射面を形成するために、該基板の表面に白色系又は淡色系の釉薬層を施釉する工程を更に含むことを特徴とする請求項8~11の何れかに記載の蓄光性蛍光板の製造方法。
【請求項13】
前記光反射面を有する基板は、白色系又は白色系の基材によって形成され、該基材によって光反射面が形成されていることを特徴とする請求項8~11の何れかに記載の蓄光性蛍光板の製造方法。
【請求項14】
前記スラリーまたはペースト中の蓄光性蛍光材が10~35重量%であることを特徴とする請求項8~13の何れかに記載の蓄光性蛍光板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】